山のシューレ 2010は、「自然の叡智-21世紀の文化と技を考える」をテーマに、自然の知恵を再び取り戻すことで、人間と自然の間に新しい生き生きとしたインターフェイスを作り出す新たな可能性について、対談、講座、ワークショップなどを通じて、様々な視点から考察が深められました。
能楽師の安田登さんによる開き舞台「地霊に聞く『おくのほそ道』那須幻想」は、芭蕉の奥の細道と漱石の夢十夜とが織り成す不思議な物語。コンテンポラリーダンサーの楠美奈生さんに白面金毛九尾の子狐太鼓も加わり、幻想的なオープニングとなりました。期間中毎日上演されたアルフレッド・ジャリの「ユビュ王」は、新見隆さんの人形を用いたシュールなナンセンス人形劇。武蔵野美術大学の学生有志の手による新鮮な演出が印象的でした。
グラフィックデザイナーの原研哉さんと新見隆さんの対談「五感のデザイン、共感のライフ・スタイル、そしてリゾート」では、日本の美意識を資源として新たな価値を作り出すことについて議論が重ねられました。国立西洋美術館館長の青柳正規さんと茨城県陶芸美術館館長の金子賢治さんとの対談「手仕事の世界性と、日本の工芸の可能性」では、日本の工芸の持つ普遍性に注目し、世界へと発信していく展望が語られました。
森林生態学者の大久保達弘さんの講座「里山-人が自然と折り合う空間」では、多様性に満ちた里山と、その将来像についてお話頂きました。美術文明史家の鶴岡真弓さんの講座「『細部を象る』美学-ケルトと日本の『生命デザイン』」では、ユーラシアの東西の極みにある日本とケルトとと比較し、両者の共振についてご紹介頂きました。
ワークショップでは、二期倶楽部のツリーハウス「木階」を手掛けたツリーハウスクリエイターの小林崇さんによるミニチュアツリーハウス作りのワークショップ、そして安田登さんと高木久美さん、槻宅聡さんによる、文字の成り立ちを息と古代の洞窟壁画に見られる「ネガティブハンド」の制作を通じて体験するユニークなこどもワークショップ「文字は息からできたっ!?」など、山のシューレならではの、那須の自然のなかでのワークショップが多数開催されました。
その他にも能勢伊勢雄さんによる三夜連続のレコードコンサート「PEPPERLAND MUSIK SPECTACLE」、二期倶楽部のシェフたちによる「チャリティランチテーブル」、観季館バーでのバー・ラジオの尾崎浩司さんの「Bar Radio 尾崎浩司の時」などのスペシャルプログラムを交え、5日間に渡って開催された山のシューレ 2010は、中垣雅葉さんによる結び舞台「『風・香・彩』二十弦筝 GAYOの音と共に」をその最終章として、幕を閉じました。
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